文学その4

『青空文庫』にある作品を『Google Translate』で英訳してみました。

彼岸過迄:夏目 漱石(626-651)/4724

彼自身もついには自分の神経を不思議に思い出した。 He himself finally mysteriously remembered his nerves. 彼は一種の利害関係から、過去に溯ぼる嫌疑を恐れて、森本の居所もまたその言伝も主人夫婦に告げられないという弱味を有っているには違ないが、…

彼岸過迄:夏目 漱石(597-625)/4724

そうしてそれがことごとく伝説的の法則に支配されて、ちょうど彼らの用いる煙草盆のように、先祖代々順々に拭き込まれた習慣を笠に、恐るべく光っているのだろうと推察する。 Then, all of them are governed by legendary laws, and it is speculated that …

彼岸過迄:夏目 漱石(563-596)/4724

それでも須永の方ではなるべく敬太郎の好奇心に媚びるような話題を持ち出した気でいた。 Even so, Sunaga seemed to bring up a topic that would appeal to Keitaro's curiosity as much as possible. 彼は自分の住んでいる電車の裏通りが、いかに小さな家…

彼岸過迄:夏目 漱石(540-562)/4724

敬太郎はわざと這入っていいかと念を入れて聞き返した。 Keitaro listened back, thinking that he should crawl on purpose. 須永はほとんどその意味を覚らない人のごとく、軽く首肯いたぎり障子の内に引き込んでしまった。 Sunaga, like a person who hard…

彼岸過迄:夏目 漱石(500-539)/4724

もとから自分の持家だったのを、一時親類の某に貸したなり久しく過ぎたところへ、父が死んだので、無人の活計には場所も広さも恰好だろうという母の意見から、駿河台の本宅を売払ってここへ引移ったのである。 Surugadai from my mother's opinion that my f…

彼岸過迄:夏目 漱石(461-499)/4724

もっとも父はよほど以前に死んだとかで、今では母とたった二人ぎり、淋しいような、また床しいような生活を送っている。 However, my father died a long time ago, and now he and his mother are living alone, lonely and lonely. 父は主計官としてだいぶ…

彼岸過迄:夏目 漱石(424-460)/4724

ズクは耳ズクの略である)彼ら両人は驚ろいたに違ない。 Zuku stands for Ear Zuku) They must have been surprised. 打ち明けた御話をすると、実は少し下宿代を滞おらしていたので、話をしたら雷獣とそうしてズクが面倒をいうだろうと思って、わざと断らず…

彼岸過迄:夏目 漱石(388-423)/4724

森本のような浮浪の徒といっしょに見られちゃ、少し体面にかかわる。 Being seen with a wanderer like Morimoto is a little involved in the body. いわんや後暗い関係でもあるように邪推して、いくら知らないと云っても執濃く疑っているのは怪しからんじ…

彼岸過迄:夏目 漱石(352-387)/4724

神さんは多少心元ない色を梟のような丸い眼の中に漂よわせて出て行った。 God drifted out with a slightly unpleasant color in his round eyes like an owl. それから一週間ほど経っても森本はまだ帰らなかった。 About a week after that, Morimoto hadn'…

彼岸過迄:夏目 漱石(311-351)/4724

「おかしいが本当です。 "It's funny but true. どうせ常識以下に飛び離れた経験をするくらいの僕だから、不中用にゃあ違ないが本当です。 Anyway, I'm a person who has an experience that is far from common sense, so it's true that it's not a mistak…

彼岸過迄:夏目 漱石(284-310)/4724

しかし彼の待ち設けた冒険談はこれで一頓挫を来したも同然なので、一人自分の室に引取ろうとすると、森本は「どうもすみません、御苦労様でした」と云いながら、また後から敬太郎について来た。 However, the adventure story he had been waiting for was a…

彼岸過迄:夏目 漱石(241-283)/4724

「田川さん、あなた本当に飲けないんですか、不思議ですね。 "Mr. Tagawa, isn't it strange that you really can't drink? 酒を飲まない癖に冒険を愛するなんて。 I love adventure because of the habit of not drinking alcohol. あらゆる冒険は酒に始ま…

彼岸過迄:夏目 漱石(199-240)/4724

「あなたの室から見た景色は相変らず好うがすね、ことに今日は好い。 "I still like the view from your room, especially today. あの洗い落したような空の裾に、色づいた樹が、所々|暖たかく塊まっている間から赤い煉瓦が見える様子は、たしかに画になり…

彼岸過迄:夏目 漱石(174-198)/4724

五 Five けれども彼の異常に対する嗜欲はなかなかこれくらいの事で冷却しそうには見えなかった。 However, his desire for anomalies didn't seem to cool down because of this. 彼は都の真中にいて、遠くの人や国を想像の夢に上して楽しんでいるばかりでな…

彼岸過迄:夏目 漱石(151-173)/4724

その女は臙脂を塗って白粉をつけて、婚礼に行く時の髪を結って、裾模様の振袖に厚い帯を締めて、草履穿のままたった一人すたすた羅漢寺の方へ上って行った。 The woman applied sardine and white powder, tied her hair when she went to the wedding, fast…

彼岸過迄:夏目 漱石(123-150)/4724

そうして、 Then 「あなたの室から見た景色はいつ見ても好いね」と自分で窓の障子を開けながら、手摺付の縁板の上へ濡手拭を置いた。 "I always like the view from your room," he said, opening the window shoji and placing a wet towel on the rim with…

彼岸過迄:夏目 漱石(73-122)/4724

「僕の事はどうでも好いが、あなたはどうしたんです。 "I don't care about me, but what happened to you? 役所は」と聞いた。 The government office is. " すると森本は倦怠そうに浴槽の側に両肱を置いてその上に額を載せながら俯伏になったまま、 Then M…

彼岸過迄:夏目 漱石(33-72)/4724

が、ついそれを試みる機会もなくて今日まで過ぎたのであるから、もし自分の手際が許すならばこの「彼岸過迄」をかねての思わく通りに作り上げたいと考えている。 However, I haven't had a chance to try it until today, so if my dexterity allows, I woul…

彼岸過迄:夏目 漱石(1-32)/4724

彼岸過迄 To the Spring Equinox 夏目漱石 Natsume Soseki 彼岸過迄に就て To the Spring Equinox 事実を読者の前に告白すると、去年の八月頃すでに自分の小説を紙上に連載すべきはずだったのである。 When I confessed the facts to the readers, I should …

門:夏目 漱石(3874-3927)/3927

まれには隠れた未来を故意に呼び出す不吉な言葉とも解釈した。 In rare cases, it was also interpreted as an ominous word that intentionally calls the hidden future. それを口にする宗助の胸の中にも、御米と同じような雲が去来した。 In the chest of…

門:夏目 漱石(3830-3873)/3927

宗助は後暗い人の、変名を用いて世を渡る便利を切に感じた。 Sosuke strongly felt the convenience of a dark person by using a pseudonym. 彼は主人に向って、「あなたはもしや私の名を安井の前で口にしやしませんか」と聞いて見たくて堪らなかった。 He …

門:夏目 漱石(3775-3829)/3927

宗助は手拭と石鹸を持って外へ出た。 Sosuke went out with a towel and soap. 明る日役所へ出ると、みんなから病気はどうだと聞かれた。 When I went to the office, I was asked about how I was ill. 中には少し瘠せたようですねと云うものもあった。 Som…

門:夏目 漱石(3714-3774)/3927

ただ、 However, 「敲いても駄目だ。 "It's no use arguing. 独りで開けて入れ」と云う声が聞えただけであった。 I just heard a voice saying, "Open and insert by yourself." 彼はどうしたらこの門の閂を開ける事ができるかを考えた。 He wondered how to…

門:夏目 漱石(3665-3713)/3927

けれどもそんなものは少しも出て来なかった。 But none of that came out. 彼は自分の室で独り考えた。 He thought alone in his room. 疲れると、台所から下りて、裏の菜園へ出た。 When I got tired, I got out of the kitchen and went out to the back g…

門:夏目 漱石(3618-3664)/3927

室は高い天井に比例して広くかつ寒かった。 The room was large and cold in proportion to the high ceiling. 色の変った畳の色が古い柱と映り合って、昔を物語るように寂び果てていた。 The color of the tatami, which had changed color, reflected in t…

門:夏目 漱石(3571-3617)/3927

宗助は喪家の犬のごとく室中を退いた。 Sosuke retired from the room like a mourning dog. 後に鈴を振る音が烈しく響いた。 After that, the sound of the bell shook violently. 二十 twenty 障子の外で野中さん、野中さんと呼ぶ声が二度ほど聞えた。 Out…

門:夏目 漱石(3517-3570)/3927

そうして一番しまいにぴたりとどこかで留まった。 Then I ended up staying somewhere in the end. 宗助は坐ながら、はっとした。 Sosuke was relieved while sitting. 彼はこの袴を着けた男の身の上に、今何事が起りつつあるだろうかを想像したのである。 H…

門:夏目 漱石(3466-3516)/3927

こう云う気楽な考で、参禅している人もあると思うと、宗助も多少は寛ろいだ。 Given that some people are practicing Zen with this kind of easy-going thought, Sosuke is a little more relaxed. けれども三人が分れ分れに自分の室に入る時、宜道が、 Ho…

門:夏目 漱石(3424-3465)/3927

有体に云うと、読書ほど修業の妨になるものは無いようです。 To put it concretely, there seems to be no obstacle to training as much as reading. 私共でも、こうして碧巌などを読みますが、自分の程度以上のところになると、まるで見当がつきません。 E…

門:夏目 漱石(3370-3423)/3927

昼のうちはさまでとは思わなかった室が、日が落ちてから急に寒くなった。 A room I didn't expect to see in the daytime suddenly became cold after the sun went down. 彼は坐りながら、背中のぞくぞくするほど温度の低い空気に堪えなかった。 While sitt…